ニュートンの運動方程式

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 こんにちは

 

今回は少し簡単な記事です。

今回のモチベーションは、「なぜ運動方程式は2階の微分方程式なの?」ということです。

高校に入って物理を始める時に最初に物体の運動について勉強すると思います。

その中で学ぶのがニュートン力学(Newtonian Mechanics)です。

そこに出てくる法則が3つあります。復習で書きますね。(ニュートン力学 - Wikipedia参照) 

 

まず前提の定義としてどんな物体であっても大きさは無視したただの点であり、その点にすべての質量が集まっているものとする。またこの点を質点という。

運動の第1法則(慣性の法則)

質点は力が作用しない限り、 静止または等速直線運動をする

運動の第2法則(ニュートン運動方程式)

 質点の運動量\bf{p}の時間的な変化は、質点に加えられた力{\bf{F}}の大きさに比例し、方向は与えられた力\bf{F}の方向に依存する

運動の第3法則(作用・反作用の法則)

 二つの質点があり、その間で相互作用があるときに質点1から質点2への力{\bf{F}}_{12}と質点2から質点1への力{\bf{F}}_{21}は大きさが等しく、方向が反対である

 

ニュートンが当時書いた『プリンキピア』の中では実は運動の第1法則と第2法則しか書いていないらしいですが。笑

 

ということで第1法則、第2法則を考えましょう。

ニュートンの当時の気持ちになってみましょう。

 

力を加えると質点の運動は変わりそうだ。ここで運動とは位置\bf{r}の時間変化であるので、まずは1階微分である速度\bf{v}が変化することを考えてみましょう。すなわち、比例係数\alpha_1として

\displaystyle \frac{d{\bf{r}}}{dt}=\alpha_1{\bf{F}}

となります。ここで一般化するために、力\bf{F}を次のように時間に依存した量として考えていきます。ただし、{\bf{F}}_iは定ベクトルとする。

{\bf{F}}={\bf{F}}_0+{\bf{F}}_1t+{\bf{F}}_2t^2+\cdots

この関係を先ほどの式に代入する。

\displaystyle \frac{d{\bf{r}}}{dt}=\alpha_1({\bf{F}}_0+{\bf{F}}_1t+{\bf{F}}_2t^2+\cdots)

\displaystyle {\bf{r}}=\alpha_1\left({\bf{C}}_1+{\bf{F}}_0t+\frac{1}{2}{\bf{F}}_1t^2+\frac{1}{3}{\bf{F}}_2t^3+\cdots\right)

この式での問題点は速度の式において、質点が静止している時は運動の第1法則が成り立つが、等速直線運動をしているときには成り立たないということです。すなわち、\displaystyle{\bf{v}}=\frac{d{\bf{r}}}{dt}がある一定の有限値を持つ場合は{\bf{F}}_0がある有限値を持つ必要がある。しかし、第1法則は力が作用しない限り成り立つものなので矛盾する。

では、次に2階微分である加速度が変化することを考えてみましょう。比例係数は\alpha_2とします。

\displaystyle \frac{d^2{\bf{r}}}{dt^2}=\alpha_2{\bf{F}}

\displaystyle \frac{d^2{\bf{r}}}{dt^2}=\alpha_2({\bf{F}}_0+{\bf{F}}_1t+{\bf{F}}_2t^2+\cdots)

\displaystyle \frac{d{\bf{r}}}{dt}=\alpha_2\left({\bf{C}}_1+{\bf{F}}_0t+\frac{1}{2}{\bf{F}}_1t^2+\frac{1}{3}{\bf{F}}_2t^3+\cdots\right)

\displaystyle {\bf{r}}=\alpha_2\left({\bf{C}}_2+{\bf{C}}_1t+\frac{1}{2}{\bf{F}}_0t^2+\frac{1}{6}{\bf{F}}_1t^3+\frac{1}{12}{\bf{F}}_2t^4+\cdots\right)

これにより先ほどの問題点が解決され、物質の運動を表現できそうです。

 では、次に3階微分である躍度(加加速度)が変化することを考えてみましょう。比例係数は\alpha_3とします。

\displaystyle \frac{d^3{\bf{r}}}{dt^3}=\alpha_3{\bf{F}}

\displaystyle \frac{d^3{\bf{r}}}{dt^3}=\alpha_3({\bf{F}}_0+{\bf{F}}_1t+{\bf{F}}_2t^2+\cdots)

\displaystyle \frac{d^2{\bf{r}}}{dt^2}=\alpha_3\left({\bf{C}}_1+{\bf{F}}_0t+\frac{1}{2}{\bf{F}}_1t^2+\frac{1}{3}{\bf{F}}_2t^3+\cdots\right)

\displaystyle \frac{d{\bf{r}}}{dt}=\alpha_3\left({\bf{C}}_2+{\bf{C}}_1t+\frac{1}{2}{\bf{F}}_0t^2+\frac{1}{6}{\bf{F}}_1t^3+\frac{1}{12}{\bf{F}}_2t^4+\cdots\right)

\displaystyle {\bf{r}}=\alpha_3\left({\bf{C}}_3+{\bf{C}}_2t+\frac{1}{2}{\bf{C}}_3t^2+\frac{1}{6}{\bf{F}}_0t^3+\frac{1}{24}{\bf{F}}_1t^4+\frac{1}{60}{\bf{F}}_2t^5+\cdots\right)

今度は力\bf{F}がなかったとしても速度\bf{v}が一定の有限値にならないという問題が生じてしまっています。ということは3階微分では表せないということです。同様に4階以上でも表せません。

つまり運動方程式は位置\bf{r}の時間に関する2階微分である加速度\bf{a}は力\bf{F}を加えることで変化するという方程式です。

今回はここがゴールなのでここまでにします!

 

2017-12-30